韓国パック視察報告書 平成二十二年六月
(社)東京包装協会(会長・太田幸一氏)は、去る六月三日から五日までの二泊三日の日程で、韓国で開催中のコリアンパック二〇一〇の視察見学を関連団体のポリオレフィン卸懇話会などの協賛で総勢二十七名の参加で実施した。
コリアパック2010
コリアパック概要
名称KOREA PACK2010第十五回韓国国際包装機資材展
回帰2010年六月一日~四日・四日間
会場 KINTEX(韓国国際展示場)韓国・ソウル市
主催 ㈱経延展覧/月刊包装
展示品①包装資材=包装機械/包装材料/軟包装加工機械/印刷機械及び関連部品/金属容器の加工容器及びガラス製造機械/プラスチック加工機械/コンベヤ、キャスタ、リフタ等/包装関連各試験、測定装備/危険廃棄物処理技術/清掃機器、リサイクル加工機器など/包装関連特許製品及び包装パッケージ/包装関連技術書物・関連団体②製薬、化粧品製造設備及び技術‐製薬、化粧品原料・原材料/製薬、化粧品試験、測定装備及び分析機資材/製薬、化粧品加工生産技術/コンピュータシステム/工程検査及びテスト装備など④物流関連機器及び物流システム
同時開催▽COPHEX2010(国際製薬、化粧品産業展)▽KOREA LAB2010(国際研究実験機資材および先端分析装備展)▽KOREA CHEM2010(国際科学装置産業展)展示規模 三〇か国七〇〇社・一八〇〇小間、来場者数三万五〇〇〇人
今回視察旅行の目的であるコリア・パック二〇一〇の開催会場であるキンテック・コリア国際展示場へ向かう。午前十時の会場に合わせての出発で約四〇分かけて到着した。同協会がツアーを組んで視察しに来たことを告げ、無料入場手続きを行ない、会場前で記念撮影をした後、各自入場し散って行った。会場は東京ビックサイド東館とほぼ同じ広さで、一階から三階までが展示場となっており、各階別にコリア・パックを含め四つの関連の展示会が同時開催されていた。今回の目的はコリア・パックだったので一階の会場の見学が予定されているため、全員一階の会場のみの見学となった。会場は三つのエリアと十九のゾーンに分かれて展示されており、この中に三〇か国、七〇〇社余、一八〇〇小間の出品がひしめき合っていた。会場が狭く感じられ通路も狭く、最終日とあって多くの来場者が行き交いごった返す状況だった。
展示は整然と分類され興味を引いたのはやはり包装機械、包装資材、環境対応機材の展示ゾーンだった。包装機械は韓国でも食品製造包装機械が中心で、食に関する安全・安心に配慮した機会が目立った。製造された食品を安全にしかも無菌の状態で即包装して行く工程はわが国の包装工程と相違はないが、特筆すべきものは見当たらなかった。まだ一昨年訪れた台湾の台北パックで見た包装機械類が進歩しているように感じられた。
包装資材は、わが国をはじめ、どこの展示会と同様、紙類の段ボール加工、合成樹脂の成型、延伸ものが主体でフィルムの袋類、容器が展示されていた。その中で特に注目されたのは封入時に殺菌、滅菌が行われ、衛生管理が行き届いている点だった。
環境機器についてはまだわが国のレベルまでは遠く思われた。廃棄物処理、食品残さ処理にもうひと工夫が要求される。雑な処理法で、韓国にはまだ食品残さに関する法律や規制もないという。いずれこれらに関しても法律や規制が施行されると予測されるが現在では、これで良く、取組み自体を評価したいものだ。
しかし、韓国国内における生活に密着した包装への関心は非常に高く、その根拠として包装に関係する多勢の来場者がその裏付けと言えよう。韓国包装資材・機器の生産額はわが国の六兆円に対して一・五兆円程度とみられている。しかし最近海外各種メーカーのシフトもあり、需要は年々拡大の傾向にあるという。技術の進展によりより優れた包装資材・機械の開発が進んでいる。この原因はユーザーサイドの包装に対する社会的責任の認識が高まって、製造各社に多様な要求が行われている。この要求に)対応するため海外の包装技術の導入および研究機関による開発が進められている。特に環境に対するリサイクル、再使用、再利用の傾向も年々高まってきている。環境先進国のわが国も、環境面について進出の機会の多分にあると思えた。
会場でひときわ目を引いたのは日本企業の出展小間だった。わが国のハイレベルの技術を駆使した包装機械・資材は、来場者の目を釘付けにし、山だかりを築いていた。
しかし韓国の包装機械・資材メーカーも技術の向上に努め、わが国のレベルに到達するには時間はかからないだろう。
いずれ良きライバルとなることは必至と感じられた。見学を終え、三時会場を後にした。
韓国の包装業界の今後の動向
従来から、韓国の産業構造は中小企業の国民総生産しめる割合が少なく、またアメリカを中心に輸出比率が高く、国内の包装資材市場が少ないため、消費者に対する包装資材のバリエーションは少ないように思われる。
近年、韓国の産業構造は大手財閥を中心に業種別に集約され、それに伴い中小企業が系列化され、包装資材、機械、包装システムの技術水準はかなり完成されたレベルにあるが、現在、韓国からの日本への一般の包装機械、包装資材の輸出は過去のほどではなく中国、東南アジアからの製品が増加している状況である。そこで韓国包装業界は日本と比べると国際化いるメリットを生かして欧米のメーカーとのOEM生産を行ったり、韓国の高い技術力と中国の安い生産力を生かして中国の市場と先進国の市場を狙って活動しているが、成功するかどうかは定かではない。いずれにせよ韓国は貿易立国であり、日本よりも海外への販売意欲をもっている事が各企業のブースでの商談の様子からも伺われた。韓国は製造技術、品質、開発スピードについてはかなりノウハウが蓄積されているので、今後もその動向に注意しておく国であることは間違いない。
全参加者名
(敬称略・順不同) [(社)東京包装協会]▽太田幸一(太田インキ製造㈱社長・会長)▽福本芳久(福本㈱社長・副会長)▽福本眞弓(同夫人)▽吉田基良(日本梱包資材㈱社長・副会長)▽村瀬行弘(旭段ボール㈱社長・理事)▽横瀬幸弘(東新油脂㈱社長・理事)▽松村満男(アイ企画㈱社長・監事)▽春野広司(㈱第一パック)▽佐藤淳(㈱第一パック)▽井科郁哉(事務局)[ウエノ・グループ]▽上野茂次(㈱ウエノシステック社長)▽上野紀子(同夫人)▽大山敏行(㈱千代川化成社長)▽大山絹江(同夫人)▽星正光(㈱ウエノシステック役員)▽星正子(同婦人)▽田中秀夫(城南パッケージ㈱社長)▽田中忍(同夫人)[東京ポリエチレン卸懇話会]▽長岡省吾(㈱明方堂社長・会長)▽大西英一(大西㈱社長)▽神崎隆治(神崎化成㈱社長)▽関政功(㈱タツミ社長)▽関田和幸(㈱関田商会社長)▽前田勉(前田化成㈱社長)▽若林吉幸(㈱ポリオレフィン時報社社長)[添乗員]▽蕪山広司(㈱エイチ・フイ・プランニング社長)以上合計二十六名