包装協議会 平成24年 8月開催
重量段ボール 今後の傾向について
重量段ボールは、近年のダンボール需要の多様化の中で、段ボール原紙の軽量化、
マイクロフルート等の段ボールシートの薄物化に対して、従来の木箱梱包に代わる
重量段ボールがシェアを広げつつある。
主に重量段ボールは、従来は輸出梱包の木枠梱包、木製のパレットが主流として使用
されていたが、当初は検疫の強化により海外輸出に関する包装資材として使用する木材の燻蒸処理の義務化行われそれに伴い、重量段ボールがその代替商品として使用されてきました。
現在は、下記のような技術の開発、生産性の向上によりコストの削減をしてその利用範囲が多様化している。
従来の段ボールシート(両面段ボール)と違って、3層の段ボールシート(複々両面段ボール)を製造する為に
1、坪量、紙圧の大きい原紙の段繰りを安定させるためのライナーの過熱処理(プレヒーター)の改造と加熱能力の大容量化。
2、シートの貼り合せの後のスターカーへの供給、通常のシート長さの倍以上の16-18mのシートを安定してハンドリングするための改造。
3、接着剤の塗布回数が多くなるため、接着のタイミングが一定になるように、塗布装置の改造と、接着剤の適切な使用方法。
4、ボックスに加工するうえで、通常のシートより非常に硬く、重量がある事を十分考え加工機械設備に改造を加えた。
5、少量多品種の製品に対応するようにオペレターが機械を簡単に微調整する事できるようなラインに改造した。
上記のように、製造ラインを改造してコストの削減と少量多品種の製品に対応する
製造できるようになり、下記のような分野に重量段ボールの利用範囲が多様化した。
1、重機械、その部品
2、大量の液体、紛体
3、大型家電製品
4、精密機器、精密医療機器
5、長尺梱包(パイプ等の長尺製品)
今後の展望
重量用段ボールは、環境(資源有効活用)の観点から再利用しにくい木製の梱包資材からの代替が図られると思われるが、企業にとって国際競争力の維持のためその生産機械の改造、製造ラインでの効率化、製品の多様化図ることにより、顧客の要望に合った製品とコストの低減の努力あることを理解してほしい。
これまでは新興国への工場移転がかならずしも需要の減少に結びつかず、大型部品の輸出梱包としての安定した需要が見込まれたが、今後は新興国での技術の向上と新興国での商圏での競争力アップのために現地生産化比率の高まることが予想され、これまでのような順調な成長が難しい状態になりつつある。今後は環境負荷の削減だけではなく、トータルの輸送効率の改善等の新しい切り口の需要開拓の努力が必要と思われる。